その他にも高齢者の踏み間違い事故はひんぱんに発生しています。
インターネットで「踏み間違い事故」で検索すると高齢者の「ブレーキとアクセルを間違えた」という理由での事故が次々と見つかります。
高齢者のアクセルとブレーキの踏み間違いが止まらない
83歳「踏み間違い」徳島県の2人死亡事故 83歳男「事故時の記憶ない」と弁護側無罪主張 徳島地裁で初公判
徳島県鳴門市撫養町の市道で3月、介護施設の送迎ワゴン車に乗用車が衝突し、高齢者2人が亡くなった事故で、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた同市の無職の男(83)の初公判が25日、徳島地裁であった。
検察側は冒頭陳述で「前方で停止していた車両を認め、ブレーキとアクセルを踏み間違えた」と指摘した。
起訴状などによると、3月18日午前8時45分ごろ、現場を時速約56キロで走行し、前方に停止している車に追突。
弾みで対向車線にはみ出し、送迎車と正面衝突した。この事故で80代女性2人が死亡し、男を含む4人が重軽傷を負った。
引用:徳島新聞
78歳男性 踏み間違えか、高齢者の車が理容店突っ込む 愛知・犬山市
12日午前8時半ごろ、愛知県犬山市犬山の理容店で、78歳の男性が運転する軽乗用車が、前向きで駐車しようとした際、店舗の出入り口に突っ込みました。
この事故で店舗の窓ガラス3枚が割れましたが、男性と店内にいた客や店員にけがはありませんでした。
男性は「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」などと話しているということで、警察が事故当時の状況を調べています。
引用:中京テレビ
高齢ドライバーが起こすアクセルとブレーキペダルの間違い事故
・店舗の駐車場やコインパーキングエリア等の駐車場等で事故発生の割合が高い。
・駐車場等で行う運転行動では、発進・直進時の事故割合が高く、高齢になるにつれその割合が高くなる。
・駐車場等における発進・直進時での事故類型は、工作物衝突の事故割合が高い。
・ペダル踏み間違いの人的要因としては、高齢要因に加え、慌て・パニックによる要因が多い。
・高齢ドライバーの着座姿勢とペダル操作に関する評価委事例から、高齢ドライバーは上半身を右方向にひねり、後方を目視した状態で後退する際は、ブレーキペダルを踏む右足先がアクセルペダル側に近づく傾向がある。
ペダル踏み間違い事故は75歳以上の高齢ドライバーが起こしやすい
アクセルとブレーキペダルの踏み間違い事故の全体の事故に占める割合を年齢別に見ると、65歳以上の高齢ドライバーのうち、特に75歳以上の高齢ドライバーでその割合が高くなっています。
運転免許証を保有する高齢者はこの10年間で約2倍に増え、今後も増加することが予想されます。
このことから高齢ドライバーによるペダル踏み間違いが原因となる事故が増加する可能性が懸念されます。
ペダル踏み間違い事故の実態
駐車場等で発生する事故の特徴
高齢ドライバーにとっては、ペダル踏み間違いにつながりやすいことで、運転操作に影響を与え、誤操作につながる可能性が高くなります。
高齢化の影響
- 視覚機能の低下
- 注意力、集中力の低下
- 情報処理の遅れや誤り
- 体が思うように動かない
- 体の柔軟性の低下
状況
発進時
- 前向き駐車のとき
- 駐車中に位置を調整するとき
- 駐車場所から発進するとき
踏み間違い要因
- 多い切り返し
- 急な発進
直進時
- 駐車場所まで向かう途中
- 駐車場出入口に向かう途中
踏み間違い要因
- ブレーキ操作の増加
- わき見運転
- 急なペダル操作
バック
- 車を駐車するために後退中
- 駐車場所から後退発進するとき
踏み間違い要因
- 体を後方にひねる
- 多い切り返し
- 急な後退
発進時・直進時は事故を起こす危険性は加齢に伴って高くなってます。
高齢者層は単独事故、特に家屋や塀等へ衝突する工作物衝突が高くなります。
発進時の典型的な事故のパターン
・車の駐車中に一旦車体の位置を調整するため発進するとき
・駐車場所から発進するとき
・車を前向き駐車するとき
・車体の位置を整えた状態から前向き駐車するとき
駐車場等は限られたスペースの中で運転行動を行う必要があるため、車両の切り返し等によるアクセルとブレーキペダルの踏み替えが増えることや急な発進をしがちになること等が、事故につながると考えられます。
直進時の典型的な事故のパターン
・駐車場所まで向かう途中、駐車場出入口に向かう途中
駐車場内を移動する際には、歩行者やほかの車の存在、さらには駐車場所を探す行為等で、ブレーキ操作を伴う速度調節が増えることや歩行者等に注意するあまり脇見運転になりやすく急なペダル操作をしがちになること等が、事故につながるものと考えられます。
ペダル踏み間違い事故となる人的要因
ハンドル操作不適とブレーキ操作不適による事故
ドライバーの人的要因別では3つの操作不適による事故に共通して“慌て、パニック”が操作ミスの中で最も多い要因
- 慌てたり、パニックに陥ったりすると操作をミス
- 高齢要因としては乗り慣れない車などの運転操作
- 高齢ドライバーの着座姿勢とペダル操作
転姿勢の変化によるペダルを踏む右足先の挙動
高齢ドライバーの体の柔軟性の低下が及ぼす影響がペダル踏み間違い事故につながりやすい傾向
高齢者の股関節の可動角度(以下、内旋角)は、加齢により小さくなる。
高齢ドライバーが運転姿勢を変えることによっては、右足先がアクセルペダルに近い位置を踏む傾向がある。
高齢ドライバーが運転中に上半身を右方向にひねるような姿勢を取った状態でブレーキペダルを踏もうとした際には、無意識のうちにペダルを踏む足先が自然に右方向へ移動し、ブレーキペダルを踏む右足先の位置がアクセルペダル側にずれる傾向があることが分かりました。
調査方法
駐車場等に駐車させるための後退運転を想定した検証を行い、以下の点を注目しました。
・両脚大腿部の開き角度
・右足先のブレーキペダルに対する傾き角度
・ブレーキペダルの左端から右足先の踏み位置との距離
調査結果
・両脚を広げる姿勢をとることにより股関節をあまり動かさない方法でペダルを操作する。
・右大腿部を右方向にややひねった姿勢でシートに座りペダル操作する。
・右足先を右方向に傾けた姿勢でペダルを操作をする。
したがって高齢ドライバーは、上半身を右方向にひねり、後方を目視した状態でブレーキペダルを操作しようとする際には、アクセルペダルに近い場所を踏み易くなり、ブレーキペダルを踏んだつもりが間違えてアクセルペダルを踏み込んでしまうことが考えられます。
高齢者のペダル踏み間違い事故が多いのはなぜ?対策は?
予期せぬところからの歩行者や車両に注意
駐車場等では、死角も多く、予期せぬところから歩行者や車両が合わられ、突然の出来事に慌ててしまい、ペダル踏み間違いミスを起こす可能性が高くなると考えられます。
慌て・パニックに陥らないためにも、周辺の状況を把握し、注意力を高め、不意な状況でも冷静な対応ができるように心掛けましょう。
運転操作の再確認
高齢ドライバーは、身体能力や体の柔軟性が低下することにより、体が思うように動かず、意図しないところで操作ミスをしてしまうことも考えられます。
個々のドライバーに合ったシートポジションを取り、運転操作に無理のない、正しい運転姿勢を取ることが大切です。
自らの運転操作に誤った傾向がないか、ペダルを踏む足の位置を確認するなどp、確実に正確な運転を行うための安全な意識を持ちましょう。
運転することに集中
普段から気持ちに余裕を持たせる運転スタイルを心掛けるとともに、運転中はカーナビ操作等の動作を同時に行わず、運転に集中できる環境作りに徹底して、ペダル踏み間違いミスを起こさないような運転に努めましょう。